学生時代、通学中、
足を綺麗にそろえ、少し斜めに流している女学生がいた。
当時、多分同じくらいの年齢の女性だったと思う。
当時は、私は制服を着崩し、メイクをするギャル路線が可愛いと思っていた。
綺麗に足を揃えている彼女は、
制服も指定通り綺麗に着こなし、
髪も規定にそって、まとめられていた。
彼女の制服は、地元で真面目な印象の制服だった。
そのため、彼女の着こなしを当時の私や同世代の子が評価すれば
いわゆる「ダサい」着こなしだった。
けれど、彼女は、本当に美しく見えた。
彼女の顔の造形は、普通のレベルだった。
というのも、特別綺麗でも、可愛くないわけでもない
という印象だったから。
今思い返しても、顔の造形に関しては全く思い出せない。
ただ、当時、その女性を見て
「わあ!綺麗だな!」
と目を引いた。
公共交通機関の電車で、仕事帰りや、学校帰りで
疲れ切った人が多く、
姿勢を崩し、スマホを眺めたり、眠っている人も大勢いた。
そんな中、彼女は、ただ一人
背筋を綺麗に伸ばし、足を揃え、
本を読んでいた。
明らかに彼女の周りだけ空気が違った。
一瞬で心を奪われてしまったので、
私はなぜこんなに彼女に対して美しいと感じるのだろう?
と疑問に思った。
当時、容姿コンプレックスが酷かったこともあり、
彼女をよく観察すると、
校則通りに制服や身嗜みを整え、
お化粧などもとくにしていない。
顔も特別可愛い印象でもない。
それでも、彼女はとても美しく見えた。
当時の私は、制服を着崩すこと、メイクをすることが
可愛いことだと信じていた。
けれど、制服をここまで正しく着こなし、
髪も容姿も自然に美しく整えられている姿を見て、
着崩している自分が一気に恥ずかしくなった。
ただ、束ねているだけなのに、すごく清潔感があって、
清楚系とはこのことか!
と衝撃を受けた。
今も強く印象に残っている。
流行に流された可愛さではなく、
同世代も、違う世代からも
万人から美しいと評価される
この美しさが私の理想なんだと思う。